いろどりぷらす

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ふつうの生活に彩りをプラス!おもしろいコンテンツを紹介したり、考えたことを書きます。

アニメ『甲鉄城のカバネリ』が名作の予感。全話の感想を書いていく。

友人に「今期のノイタミナが『東京喰種』とか『進撃の巨人』っぽくておもしろいよ」というおすすめをうけたので見たら、名作の予感がしました。この記事では、前半で未視聴の方向けに『甲鉄城のカバネリ』のあらすじや魅力についてお伝えし、後半は視聴している方向けに自分が見た感想を載せていきます。オリジナルアニメなので展開がわからず今後の展開がとても楽しみです。最後には『甲鉄城のカバネリ』をもっと楽しむために、監督のインタビューやラジオの情報を記載しておきます。

 

甲鉄城のカバネリ』とは

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甲鉄城のカバネリ』は2016年4月から『ノイタミナ』枠にて放送中の、原作のないオリジナルテレビアニメです。キャッチコピーがかっこよく、「死んでも生きろ」「貫け、鋼の心を」の2つ。

 

監督は『進撃の巨人』や『DEATH NOTE』などの荒木哲郎さん、脚本は『コードギアス 反逆のルルーシュ』などの大河内一楼さん。『コードギアス』は僕がとても好きな作品なので、脚本には期待しかしていません。

 

アニメ『甲鉄城のカバネリ』のあらすじ

急激に近代化が進んでいった産業革命後の世界が舞台。産業革命により世界各国が発展していく中、突如カバネと呼ばれる怪物が出現し、世界中の人間たちを恐怖の底に陥れるのだった。

 

カバネの恐ろしいところは、不死身である事。カバネを滅ぼすためには心臓を攻撃する必要があるのだが、心臓は屈強な鋼でカバーされており、並みの攻撃では太刀打ちできない状況だった。

 

また、人間はカバネに噛まれてしまうと理性を失い、カバネと同じように人間たちを
攻撃するようになるため、安易にカバネに近付く事もタブーとされていた。日ノ本(ひのもと)という島国に住む少年・生駒は、強大な力を持つカバネに対抗するための武器『ツラヌキ筒(づつ)』の開発に取り組む。

 

人間たちがカバネの存在に恐れる中、生駒はただ1人カバネへの対抗策を考えていたのだ。国中の駅を往来する装甲蒸気機関車の清掃員として働く事になった生駒は、とある少女と出会う事になる。

 

その少女は無名(むめい)という名前で、カバネに噛まれていないかどうかの
チェックを受けずに装甲蒸気機関車に乗り込んでいた。夜になって、再び無名を見かけたその時、カバネに侵略された装甲蒸気機関車が生駒たちの元にやってくる。周りにいた人間は既にカバネに噛まれていて、生駒たちを襲撃する。

 

「今度こそ、オレの手でカバネを叩きつぶす!」

 

絶体絶命な状況に追い込まれた生駒はカバネへの対抗心をむき出しにし、カバネとの戦いに挑む。

 

 

アニメ『甲鉄城のカバネリ』の魅力

ちょっと古いテイストの魅力的なキャラクターたち

この作品を簡単に説明するとゾンビもの、ということになるでしょうか。世界がカバネという不死の化け物に覆われ、人々は恐れをなす。鋼鉄で覆われた心臓を突き破らないかぎり死ぬことはありません。生きた人間の血を啜ることで、人間を同じカバネに変えてしまう。

 

こういったいわゆるゾンビものは、『バイオハザードシリーズ』など多くの作品で描かれた題材ではあるものの、コンセプトアート・デザインを担当する森山洋さんの絵でまた違った印象になっています。

 

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主要女性キャラがかわいいんですわ。こちらはメインヒロインの無名(むめい)。見た目のかわいらしさに伴わない、無骨な名前がまたいい。

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この世界のお嬢様、菖蒲(あやめ)。お嬢様らしい名前。

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(かの有名な『サクラ大戦』を髣髴とさせるキャラですね。)

 

キャラクター原案は「超時空要塞マクロス」「トップをねらえ!」などで知られる美樹本晴彦さん。自身の絵を「古いのでは」として心配していたようですが、彼の独特なテイストによって逆にとても魅力的な作品になっています。美樹本さんは自分の絵がアニメ化されたことについてこう語ります。

 

映像を見て驚きました。線は繊細で柔らかくてデリケート。生き生きとしてものすごくうまい。イラストの濃淡を映像でも再現するため、半分の濃さの影をつけたり、更に影の縁をボカしたりしている。


そのほか、目の輪郭をボカすとか、まつげにハイライトを入れるとか、目の光彩を細かく描き込むとか、テレビアニメでここまで手を入れて大丈夫なのか?と思うくらい」

 

自分が描きたいのは記号化されたキャラクターでなく、フワッとした雰囲気や空気感をまとった人物。荒木さんたちに、そこに取り組んでいただけたのはうれしかった。(アニメキャラにメイクアップ 「甲鉄城のカバネリ」:朝日新聞デジタル)

 

彼の絵が好きな人には朗報。エンディングで使われている美樹本さんのイラストが各話描きおろしだと言うのです。ひえー。

 

期待高まるスタッフたち

キャラクター原案の美樹本晴彦はもちろん、荒木哲郎監督と大河内一楼さんのタッグにも注目が集まっています。この2人組みは2011年に放送された『ギルティクラウン』以来5年ぶりの組み合わせとなっています。「荒木哲郎監督と大河内一楼さんが組めば、成功間違いなし!」という声も多く、スタッフの顔ぶれから成功への期待が高まります。

 

 「駅」という概念が生への必死さを醸し出している

甲鉄城のカバネリ』の世界で重要な概念が「駅」というもの。安全を脅かす存在であるカバネから身を守るため、人は高い堅牢な壁を作り、その中で閉じこもって生活をしています。『進撃の巨人』の「ウォール◯◯」をイメージしてもらえればよいかと。物語の構図が似すぎて「進撃のカバネリ」なんて言われることもあるようですが、本作の監督は『進撃の巨人』も担当されているので、うまくズラして違う作品に仕立ててくれると期待しています。

 

壁で覆われた駅と駅をつなぐのが「駿城(はやしろ)」という走行機関車です。タイトルである「甲鉄城」というのもこの駿城の1つ。駅がカバネによって支配されると、人は駿城へ乗り、別の駅へと逃げるのです。

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甲鉄城

 

フツウの人間はカバネに対抗できないから、なんとかして彼らの手が届かない範囲へ逃げるしかない。戦って生きられる場所をつくるのではなく、なんとかして逃げるという必死さが駅という存在から伝わってきます。

 


アツいセリフ

セリフがねー、アツいんですよ。具体的なことは各話の感想で紹介することにしましょう。

 

甲鉄城のカバネリ』予告PV

 

アニメ『鉄甲城のカバネリ』全話あらすじ、感想

ここからは各話放送ごとに感想を載せます。もしかしたら少し飛ばしてしまうかもしれません。

 

甲鉄城のカバネリ』第1話 「脅える屍」あらすじと感想

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主人公の生駒が自ら開発した武器の試作品「ツラヌキ筒」を構える。

不死の怪物・カバネが顕金駅を襲った。顕金駅で暮らす蒸気鍛冶の少年・生駒は、逃げ惑う人々の波に逆らって走り出した。密かに開発した武器――ツラヌキ筒でカバネと戦うつもりだ。彼自身の過去と、誇りのために。

 

1話は「おもしろい!」というよりも世界観を伝えるための説明回。主人公の名前が生駒(いこま)で、乃木坂の生駒ちゃん!?と思った人は少なくないはず。笑

 

カバネを恐れる人々は疑心暗鬼になって、感染しているかわからない人を「安全を守るため」という名目で殺そうとします。その行動に対して主人公の生駒が

 

「やめろ、臆病者!銃を向ける相手を間違ってるって言ってるんだ!」

 

正義感に溢れた主人公、アツいね。そして最後のシーンでは無名ちゃんがカッコいい&かわいい。

 

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甲鉄城のカバネリ』第2話 「明けぬ夜」次回予告動画、あらすじと感想 

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なんとか助かった生駒は、顕金駅に唯一残された駿城――甲鉄城に向かう。一方、カバネの中に取り残された菖蒲たちの前に、幼い少女・無名が現れた。彼女はその超絶の戦闘力で、甲鉄城への脱出路を切り開いていく。

かわいらしい無名ちゃんが無敵キャラへと変貌します。そしてまた主人公の名ゼリフが飛び出します。

 

「俺はあの世から笑ってやる。ざまぁみろってなぁ!!! 」

 

ネタバレを控えるために状況の説明は避けますが、いちいちセリフがカッコいい。

 

甲鉄城のカバネリ』第3話 「捧げる祈り」次回予告動画、あらすじと感想 

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顕金駅を脱出した甲鉄城は、幕府の要害――金剛郭を目指す。しかし、甲鉄城の人間たちは早くも内部対立し、生駒たちカバネリを追い出そうとする。急遽リーダーになった菖蒲にそれを治める力はなくて……。 

 

体はカバネで心は人間、通称「カバネリ」という存在が無名ちゃんによって明らかになりました。つまりタイトルの『甲鉄城のカバネリ』というのは甲鉄城に乗っている、生駒と無名を指しているということですね。おそらくこの2人を中心として今後のストーリーも展開していくことでしょう。

 

正義感の強い生駒は民衆を守るために自分の身を犠牲にしてカバネと戦いますが、いまだ周囲からは信頼を得られておらず、生駒や無名はカバネとして扱われています。一部の民衆の反感が強まり、生駒と無名を退治しようと団結したときのこと。急に菖蒲が生駒のことを短剣で刺します。

 

菖蒲「なぜ右手を使わないのです!袂を掴んで私を噛めば…」
生駒「できません!」
菖蒲「なぜです!?」

生駒「この手に誓ったからです!

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「もう逃げたりしない。たとえ自分が助かるためだとしても誰かの命を踏みにじってはならないと!」

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「倒すべきはカバネだ。カバネを倒すために俺の命はあるんだ!!」

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本当に生駒の声優、畠中祐さんの演技がいい。視聴者を1つのセリフで一気に引き込む迫力がある。それに加えて、世界観を説明する回でもこうしたアツい盛り上がりポイントを作っている脚本も素晴らしい。

 

生駒が無名に向かって回想しているとき、一瞬生駒の妹が無名なのかと思いましたが、どうやらそうではないようです。ただ無名の過去は全く明かされていないので、最後の感動(?)の展開におそらく彼女の過去が関わってくるのではないかと予想しています。

 

 

甲鉄城のカバネリ』第4話 「流る血潮」次回予告動画、あらすじと感想

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生駒と無名は民衆によって最後尾車両に閉じ込められてしまう。それは甲鉄城の戦力の弱体化を意味していた。ちょうどそこにカバネが襲ってくる。しかも中には、戦いを重ねて強くなったカバネ――ワザトリがいて……。

 

今回はご褒美がありました。冒頭で菖蒲さまのお美しいお胸が...

 

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菖蒲はカバネリを甲鉄城に乗せていることを責め立てられ、一度はリーダーの座を受け渡しますが再度カバネリたちが民衆を助けることで改めて周囲の信頼を勝ち取ります。

 

この回で初めて登場した「ワザトリ」という新種のカバネリ。彼らは戦闘を重ねて強くなったというものですが、4話で現れたということは他の種類も存在することが伺えます。たとえば水中に特化したもの、移動速度が飛び抜けて速いものなど。いずれは“最強のカバネ”なるものと戦うことになるのでしょうか。

 

甲鉄城のカバネリ』第5話 「逃げられぬ闇」次回予告動画、あらすじ

 

カバネに滅ぼされた八代駅で、甲鉄城は生存者を拾った。生存者の中には無名の昔なじみ榎久がいた。彼は甲鉄城に馴染み始めた無名を弱くなったと指摘する。焦った無名は、自ら無謀な戦いを選択し、窮地に陥ってしまう。

無名、死亡フラグ。 

 

甲鉄城のカバネリ』第6話 「集う光」次回予告動画、あらすじと感想

 

甲鉄城は巨大なカバネの塊――黒けぶりを前に立ち往生していた。一方、生駒と無名は廃駅の底に落ちていた。周囲はカバネ、無名はガレキの下敷き、援護は望めないという絶望的な状況で、それでもなお生駒は前を向いた。

他のゾンビものでもあるように「私の仲間はみんなカバネになったよ」と、半分カバネであるカバネリたちも後にカバネになってしまうということが無名によって明らかになりました。

 

新しく登場した「黒けぶり」を撃退する際に、無名は少しためらう素振りをしました。心臓部のカバネは彼女と似た格好をしているように見えました。カバネリはかつての仲間を殺さなければならない運命にあるのか。

 

アニメの中盤にしてその兆候を感じさせた無名は、最終回までにカバネになり、生駒が無名を殺すというどんよりした展開が待っているかもしれません。

 

 

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甲鉄城のカバネリ』をもっと楽しむ!

最近のアニメでは定番のネットラジオも配信中。

カバネリツアーズ | インターネットラジオステーション<音泉>


公式サイトでは作品の設定を詳しく知ることができます。

「甲鉄城のカバネリ」公式サイト

 

公式ツイッターはイベント情報などを発信しています。

  

甲鉄城のカバネリ』の荒木監督のインタビュー。

ノイタミナ「甲鉄城のカバネリ」荒木哲郎監督インタビュー前編 「目指すのは王道を行く“普遍的”な作品」 : ニュース - アニメハック

ノイタミナ「甲鉄城のカバネリ」荒木哲郎監督インタビュー後編 「移動要塞・甲鉄城のカバネマン」 : ニュース - アニメハック

 

まとめ

完全オリジナル作品のため今後の展開は知りませんが、名作の予感がしています。ゾンビものが使い古された題材であるということは制作陣が一番わかっていることなので、うまく違いを見せてくれることを期待しています。また、大きな壁をつくり脅威から逃げる、という世界観である『進撃の巨人』と同じ監督が制作していることから、既存の作品とはうまく差をつけてくれるのではないでしょうか。

 

—————随時更新————— 

キーボードが電車に!?見立てる力を刺激する「mr.kriss」の作品集

 

www.instagram.com

 
キーボードの鍵盤が電車に。
 
トマトがボクサーの手に。
 
プレッツェルがあぐらをかく足に。
 
 
これらの作品はチェコイラストレータ−、クリスティアン・メンサさんの作品。なんと1997年生まれで19歳(2016年現在)だというのだから驚き。彼の作品の特徴は自分の周りにある、当たり前のものを何か全く別のものとして“見立てる”こと。
 
 
 トイレットペーパーをレッドカーペットに見立てたり、
ねじをトランペットに見立てたり、
 
みかんを亀の甲羅に見立てたり。
 
誰しも「あの雲、クジラに似てるね」なんて会話を小さな頃にしていたけれど、大人になってくると「雲は雲」「ねじはねじ」と自分の中にあるイメージを固めてしまう。
 
あるものの中にある要素を他のイメージに転用する力はアイデアを生むテクニックのひとつだ。自分の周りにある風景を「変わらない日常」として捉えて思考停止してしまうのではなく、たまにこうした作品を眺めることで「変わらない日常」を疑うクセをつけていきたい。
 
また、彼は風景写真とイラストを組み合わせた作品も多数発表している。
 
 誰にでも思いつきそうなアイデアだけれど、意外と形にしている人は少ない。
 
 
こちらで彼の作品がすべて見られます。
 
Instagramアカウントはこちら。
 

『紺田照の合法レシピ』はヤクザ×グルメのギャップが笑える

これもう読みました?

 

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*1

 

合法グルメマンガ『紺田照の合法レシピ』

少年マガジンRで連載されているマンガ『紺田照の合法レシピ』の発想にやられました。いかにもヤクザもののマンガのように見せかけながら、実際には自炊する様子しか描かれていないというギャップが笑えます。

 

たとえばこんなシーン。

 

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あたかもヤバイことをしているように見えますが、決して法に触れてはいません。明太子の皮を食べながら大葉を調理しているだけです。安心して下さい、合法ですよ。

 

というか大葉のことを「合法ハーブ」と呼ぶということは違法ハーブと区別する必要があるということで、つまり普段は...おっと。

 

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「ずっと吸引していたい...」

 

いかにも幻覚を見ていそうな顔ですが、米の匂いを嗅いで悦に浸っているだけです。


本作がWeb発だからか他のコンテンツとの連携もしていて、クックパッドに作中のレシピが掲載されています。なので「この料理ヤバイ、キメたいぃぃぃ!!」という気分になったらレシピを参考に今晩のおかずができるわけです。最高ですね。

紺田照の合法レシピのキッチン [クックパッド] 

 

現在3話までニコニコ静画で読めるようになっているので、覗いてみてはいかがでしょう。

紺田照の合法レシピ / 馬田イスケ - ニコニコ静画 (マンガ)

 

もっと読みたい人はこちら

『バーナード嬢曰く。』に読書好きの痛いトコ突かれたが心地いい

いやー、愉快。

 

「読書好き」を笑って打ちのめす、読書をテーマにしたギャグマンガバーナード嬢曰く。』がとてもおもしろかった。施川ユウキさんの作品はあまり読んだことがなく、唯一読んだのは『オンノジ』。NAVERまとめでどこの馬の骨が言っているのかわからないおすすめを信じて購入してみたものの、僕には合わなかった。決して質的に劣っているという話ではなく、NAVERまとめでおすすめしていた人は熱心にすすめていたので、あくまで相性が悪かったということなのだと思う。

 

バーナード嬢曰く。』の何が面白いのかというと、本を読むのが好きな人たちの「あるある」を描いているところ。読書をしている人はカッコいいと思って本を手にするも読んだふりだけするヒロイン(この言い方が正しいかわからない)、ヒロインが図書館にいるからというだけで図書室を訪れるストーカーのような男の子、ストーカーのような男の子を図書委員という名目で観察しているストーカーのストーカー…。こんなヘンな人たちが「読書家」たちの間でよく起きる出来事を扱っているので、本好きには皮肉を言われているような気になりつつも、あっはっはと笑ってしまうようなシーンに溢れている。

 

たとえば冒頭。

 

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図書室の端っこで 彼女はいつも 1人で本を読んでいる。
一見かなりの読書家に見えるが 僕は知っている。

 

彼女が本を読むのは誰かが見ているときだけだ。

  

いやー痛いとこ突かれましたわ。今となっては人に見られているかどうかなんて全く気にしなくなったものの、中学生、高校生ぐらいのときは意識していたと思う。いわゆる名門校に通っていたわけではないので周りにちゃんと本を読んでいる人はいなくて、そんな中で「みんなと違うことしてる自分カッケー」と内心思っていた。ほんと恥ずかしい。反省してます。

 

いまではこの「本読んでる自分カッケー」現象はむしろ逆転してしまった。『バーナード嬢曰く。』にも引用されているショウペンハウエルの言葉がしっくり来ているので引用する。

 

読書は他人にものを考えてもらうことである。
本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるにすぎない

ショウペンハウエル『読書について』

 

読書というのは他人の思考をなぞることで、自分で考えようと意識していないと考えた気になって終わってしまう。このことは身を持って実感している。家の本棚に詰まっている読破した名著の数々がいまの自分にどれだけ血肉になっているだろうか。正直言ってわからない。

 

バーナード嬢曰く。』で描いていることは極端ではあっても、自分の読書に対する姿勢を見直すいいキッカケになるかもしれない。

 

名著を買って本棚に並べたとき、この表紙に似たこと思いませんでした?

 

『バーナード嬢曰く。』 施川ユウキ

 

ようやく「センス」関連のコンテンツ始めます

 「センスを磨くマンガブログ」なんて仰々しいタイトルをつけておきながら、センスのかけらもない記事ばかり書いてすみませんでした。めんどくさかったんです。

 

新連載始めます

さすがにそろそろタイトル通りのコンテンツがないと、唯一いる3人ぐらいの読者に訴えられそうなので連載を始めます。その名も「センスのつくり方」。とりあえず始めた段階なので途中でピボットする可能性大、大、大です。

 

この連載のメインは身の回りにあるセンスのいいモノやサービスの分析です。僕自身がセンスを磨くため、3人ぐらいいる心優しい読者の方々にも新しい視点を得られるようにいろいろと観察します。

 

連載予定例

・「オトナ」という甘美な響き

・シェアボタンはどうあるべきか

・役割に最適化されたペンケース

 

などなど...

 

みなさんにとっておもしろいかどうかは謎ですが、僕が読んでおもしろいと思えるネタを扱いたいと思います。

 

次回予告

「『オトナ』という甘美な響き」

気になる方はこちら↓で購読!

『カルト村で生まれました』の「普通」に思わずあの言葉を叫びたくなる

とても興味深いマンガを読みました。

 

『カルト村で生まれました』高田かや

 

ほのぼのした絵のタッチと、「カルト村」というワードのミスマッチ感。これだけで僕は惹かれて買ってしまいました。この作品はタイトルの通り一般人からすると「カルト村だ」とされるような閉鎖的な村で19歳まで暮らしていた女性が自身の体験を綴ったマンガです。

 

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思わずツッコみたくなる「普通」の数々

作中で紹介される独特のルールは村の外の人からすると「異常」とも言えるようなものばかり。たとえばこんなシーン。

 

村の理想とする社会は所有のない社会。だからすべての物は基本的に共有しているという。いま流行りの「シェアリングエコノミー」を徹底しているわけですね。

 

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また、村では1日2食しか食べられないという。

 

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だからお腹が好きすぎて甘い薬をおやつとして食べていた、なんてことも。

 

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いまの時代こんなことやっているのか、と衝撃を受けたのが手紙の検閲。ここで暮らしている人にとっては普通かもしれないけれど、戦時中か、とツッコみたくなります。

 

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これらの様子を眺めていると、自分にとっての普通があくまで所属する社会の「普通」であって、全世界共通の普遍的なルールではないということに初めて気づく。異文化に触れないとこんな気づきは得られない。こうした自分の根底となる部分がぐらぐら揺れる体験は恐怖を呼び起こすこともあれば、視野が広がる開拓者のような楽しさもある。

 

「明日からカルト村で生活しろ」と命じられて20を越えた成人が急に訪れたら、きっとそれまでの「普通」と差によるとてつもない違和感で死んでしまうかもしれない。しかしあくまで作品として「こういう場所もあるんだよ」と紹介される分には単に好奇の対象となるだけ。

 

「普通」はコンテンツになりやすい

自分にとっての「普通」が他の人にとっては「普通」ではない、というように新しいアイデアを考えなくてもおもしろいのだから「普通」はコンテンツになりやすく、たくさん世の中に出回っている。

 

この種のコンテンツは、異なる「普通」を紹介するパターンと異なる「普通」からの視点で消費者の「普通」を見るパターンがある。『カルト村で生まれました』は前者で、後者はたとえば最近だと「厚切りジェイソン」のネタなんてわかりやすい例になる。

 

ジェイソン:
「最後のから揚げ」というネタだと、
「今日は飲み会、うれしいね!
最後のから揚げ、食べれるよ!」
「Why!?」
「外国人だから!」

糸井:
最後のから揚げ(笑)。
1個残った場合のね。

ジェイソン:
「食べればいいのに。
みんな、食べたいと
思っているのに、手が出ない。
Why!? おかしいよ!」

(いまの時代のナポレオン。 - ほぼ日刊イトイ新聞)

 

日本人を外からみると、こうした行動は思わず「Why !?」と言いたくなる。というか日本人も違和感を感じているだろうけどね。

 

『カルト村で生まれました』の読者はあくまで村の「普通」を外から見る側。1日2食しか食べられない、「むかつく」と言った子どもの髪の毛を掴んで壁に打ち付ける、なんて話を聞いて思わず声高に叫びたくなる。

 

「Why カルト ピーポー !?」

 

宙ぶらりんの日々(あとがきのようなもの)

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朝起きた瞬間に「遅刻だ!」と飛び起きてからの実は休日だった安心感に勝る安心感に出会うことはなかなかありません。