旅中で出会う女性はなぜこうも魅力的なのかー『おもいでエマノン』梶尾真治・鶴田謙二
本のいいとこおすそわけ。
今回ご紹介するのは、某ギャルゲーの原作なのではないかという話を聞いて手にとった梶尾真治さんと鶴田謙二さんの『おもいでエマノン』。梶尾さんのSF小説が原作で、そこに絵をつけてできたマンガです。あらすじとともに軽いレビューを。
学生である「僕」は失恋を繰り返し、傷心旅行として、船の中でSF小説を読んでいた。そのとき、エマノンというフーテン娘に出会う。ささいなきっかけで話すようになり、急激に仲が深まる。旅の途中で出会う異性はなぜこうも魅力的なのか。すらりと伸びた手足、長い髪、そばかす、ふと見せるふくれた顔。
「僕」がSF好きだということを知ると、エマノンは自分の話を始める。「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」と。細かいストーリーはちがっても、すべての記憶を忘れずにいるヒロインはやはりあのキャラクターを思わせる。
惹かれ合う2人の間で感じている時間がちがうとはこういうことなのか。「僕」の目線で読んでいると、ラストで切なさMAX!
読み返すと、はじめは不思議に思っていた描写に納得がいく。エマノンはなぜたばこを吸っているのか…そうして再び目にする雪は、より切ない。
※2015-01-07追記
こうした事実を知った上で『おもいでエマノン』を読むと、より楽しめると思います。
すべての出来事を記憶している人が実在するらしい。(『おもいでエマノン』をもっと楽しむ!) - いろどりぷらす
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