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ふつうの生活に彩りをプラス!おもしろいコンテンツを紹介したり、考えたことを書きます。

すべての出来事を記憶している人が実在するらしい。(『おもいでエマノン』をもっと楽しむ!)

 

先日、こんなマンガを読みました。

 

旅中で出会う女性はなぜこうも魅力的なのかー『おもいでエマノン』梶尾真治・鶴田謙二 - いろどりぷらす

 

この作品のヒロイン、エマノンは生命が誕生したときから現在までのことをすべて記憶しているという。さすがに、個体が変わっても記憶を保持するという話まではいかなくても、「もっと記憶力がよければいいのにな」と思う人はたくさんいるはず。

 

1つでも多くの単語を効率よく覚えたい、1つでも多くのおいしかった食事の体験を覚えていたい、1つでも多くのラッキースケベを記憶したい。エマノンの記憶力はこうした人たちの願いを叶えた1つの例です。

 

とはいっても、空想上の話でしょ、と思うじゃないですか。思ってたんですよ、僕は。けれど、似たような体験をしている人がいるようなのです。

 


ケース1:サヴァン症候群

サヴァンはテレビでよく取り上げられているので、結構有名かもしれません。サヴァン症候群というのは、知的障がいなどを持つもののうちで、ものすごく限定された分野において優れた能力を発揮する症状のことをいいます。

 

たとえばこんな実例があるという。

ある日、ピークは「The Hunt for Red October(邦題:レッド・オクトーバーを追え!/トム・クランシー作)」を一時間ほどかけて読み終えた。そしてそれから数ヶ月が経ったある日、その本に描かれていたロシアの無線通信兵の描写について、ある男がピークに訪ねた。するとどうだろう、ピークはまるで目の前にある本を読み上げるように、該当するセンテンスを漏れなく引用して諳んじてみせたのである。X51.ORG : 九千冊の本を暗記する男 ― サヴァン症候群とは

 

レスリー・レムケは卓越した演奏家だ。14歳のとき,彼は数時間前にテレビで初めて聞いたチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を,ためらうことなく完璧に弾きこなしてしまった。レムケはそれまでピアノのレッスンを受けたことがなかったし,その後も1度も受けていない。

 

彼は目が見えず,発達障害と脳性麻痺がある。しかし米国だけでなく海外のコンサートにも出演し,何千曲も演奏し,歌っている。即興演奏や作曲も得意だ。右脳の天才 サヴァン症候群の謎 | 日経サイエンス

サヴァンの人たちは記憶力に限らず、特定の能力が常人より秀でています。しかし、彼らは知的障がいや発達障害を持っているため、自立した生活は非常に難しいです。フーテン娘である『おもいでエマノン』のヒロイン像とはかけ離れています。

 

 

ケース2:超記憶症候群

 

サヴァンに似ているようで、全く異なる症例もあります。

 

ジル・プライスさん、42歳。彼女は14歳の時以来、生活の全ての出来事を記憶しているが、それは呪われた「忘れることが出来ない」能力のようにも思える。 彼女は自らの人生をテレビのスプリット・スクリーンのようだと言う。今現在の彼女の行動を映し出す画面があり、他方で自分では制止することができない記録していく画面がある。

 

1980年以降の出来事の詳細―何時に起き、誰と会い、何をして、食事で何を食べたか等―が、彼女の脳内にしっかり閉じ込められて、歌とか匂いとか、あるいは地名等々、日常のごくありふれた何かを引きがねにしてそれらがどっと放出されてくるのだ。

「プライス夫人(学校経営、未亡人)は、鮮明な過去の記憶が頭の中でひしめき合ってくつろぐことが出来ないため、しばしば眠りにつくのにも苦労する。彼女のこうした症状は極めて珍しいもので学者たちは「超記憶症候群」と名付けた。」

 

彼女はある日におけるごく些細な事柄さえ ― 大きな出来事と同じように ― 完全かつ明瞭に記憶しており、即ちそこに感情の起伏などが介在する余地はなかった

 

彼女の能力は例えばサヴァン症候群の人々とも大きく異なるものである、と博士は付け加えている。

 

「サヴァンの人々はある特定の趣味、例えば野球やカレンダー、芸術などに特異な記憶能力を発揮しますが、その範囲はとても限定的なんです。私の知るあるサヴァンの人は、音楽を聴けばすぐにそれを完全に記憶することが出来ます。しかし彼は釣り銭の計算も出来なければ、バスに乗ることも出来ません。彼は自分が何処にいるのかも把握できないからです。」

 

しかしそれとは対照的に、AJは”完全に自立的な人間”であると、博士は語っている。

 ※参照

The woman who can remember everything - Telegraph

X51.ORG : "人間カレンダー" ― 全人生を記憶する女

 

 

すべてを覚えている人と一緒にいるのは寂しい

 

一般的には、出来事が過去になっていくほど記憶が薄れていきます。だからみんな学生時代を懐かしんだり、初恋を淡い記憶として大切にしているのです。

 

一方、超記憶症候群を持つ人にとってはどんな過去の体験も距離感が一緒です。「懐かしい」という感覚はありません。幸せな記憶も辛い記憶も等価です。「私体験したことをすべて覚えていられるの」ということだけをみると、多くの人から羨ましがられるかもしれませんが、おそらくよく少女マンガで描かれるような情緒はありません。

 

人は記憶が薄れてしまうから寂しいと感じ、好意を寄せる人にまた会いたくなる。しかし、すべての出来事を覚えていられるのなら、必ずしも頻繁に会う必要はなくなってしまう…。

 

こんな実例を知っていると、『おもいでエマノン』がより楽しめるはず。

 

おもいでエマノン (リュウコミックススペシャル)

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