この宝石の欠片は本棚に置いておきたいー『宝石の国』市川春子
本のいいとこおすそわけ。
今回ご紹介するのは、このブログで何度か触れたことのある市川春子さんの『宝石の国』というマンガです。本棚に置いておきたい作品。
※本作は『マンガ大賞2015』大賞候補にノミネートされています。
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あらすじ
今から遠い未来。地上の生物が海に沈み、海底の微小な生物に食われて無機物となり、長い時間をかけて結晶となった宝石生命体、のような存在が生まれた。その宝石のカラダを持つ28人は、彼らを装飾品にしようと襲い掛かる月人(つきじん)に備えるべく、戦闘や医療などそれぞれの持ち場についていた。
月人と戦うことを望みながら、何も役割を与えられていなかったフォスは、宝石たちを束ねる金剛先生から博物誌を編むように頼まれる。漫画界で最も美しい才能が描く、戦う宝石たちの物語。(Amazon.co.jp:宝石の国(1))
このPVがよくできてる。
まさに宝石のような作品
『かくかくしかじか』の東村アキコさんが『このマンガがすごい!2015』本誌の中で「枕元に置いて毎晩ながめてから寝る、宝石のような作品」と評価しています。動画を見ていただけると、雰囲気がつかめるはず。市川さんの他の作品を読んだ方ならわかると思いますが、幻想的で独特な世界観を持ったマンガです。
とまあ「幻想的で、素敵」と言うだけでもいいのですが、このマンガを気に入った理由を考えると、内容はもちろんですが、他の作品との差でいうと装丁が気に入りました。
普段、僕は紙の本も電子書籍も場合によって使いわけています。それぞれいいところ、悪いところはありますが、『宝石の国』は紙の本を買うことをおすすめします。
なぜかって?
それはきれいだからですよ。
表紙にあたる光の角度が違うと光る場所も色も変わる。
この表紙の輝きは当然購入するときから目に入っていました。けれども「ただ光ってるだけじゃん」という認識でそれほど重要視していませんでした。
本作に登場するメインのキャラクターは宝石たちです。物語の世界に入り込み、宝石が抱える苦悩を感じていると当然キャラクターに愛着がわきます。欠損することはあっても、死ぬことはない体を持つ宝石たちは戦い続ける。
おもしろかったな、と本を閉じると、表紙の輝きが目に入る。「あれ、ここにもいる」と、キラキラした表紙がキャラクターの欠片であるかのように思うようになったのです。思わずなでててしまうほど。だから購入時に手にとったときより表紙に愛着があります。
「電子書籍が紙の本を淘汰するのか?」という議論をするときに、「紙の本はコレクションとして買いたい人がいるから、なくなりはしない」という意見が出ます。まさに『宝石の国』はその類の本。必ずしも、ものすごく豪華な装丁というわけではありませんが、読んだあと愛着がわき、本棚に置いておきたくなるマンガです。
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