いろどりぷらす

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あなたの身体を貸してくれませんか。泣ける思考実験マンガー『スキエンティア』戸田誠二

 

本のいいとこおすそわけ。

今回は戸田誠二さんのSFマンガ『スキエンティア』という1巻完結の作品をご紹介します。SFだけど明るく、とても読みやすいです。感動的なストーリーがありつつ、思考実験としても楽しめます。第1話だけ若干ネタバレを書きます。 

 

スキエンティア

 

登場するのは「すこし・ふしぎ」な道具たち

僕はSFが好きです。小さな頃から、これまでできなかったことが科学の力でできるようになることに漠然とした憧れを持っていました。

 

物語としてのSFは技術の否定的な面とか、哲学的なことを話題にしたがります。ジョージ・オーウェルの『1984』、最近だとアニメ『PSYCHO-PASS』などなど。でも、本作は技術によって少し幸せになっていく人たちを描いています。

 

舞台は『スキエンティアタワー』という高いビルのある1つの街。そこで起こる出来事がショートストーリーが展開されます。人や技術ほとんどが僕らのいる世界と同じなのですが、『ドラえもん』の秘密道具のように、ストーリーごとに1つだけ「S(すこし)・F(ふしぎ)」な道具が登場します。

 

作品中に7つの物語がある中で、特に刺さったのは『ボディレンタル』、『媚薬』、『クローン』、『覚醒機』。その中で、みなさんの楽しみを削がないためにも1番最初の物語である『ボディレンタル』に絞ってご紹介いたします。

 

あなたの身体を貸してくれませんか

主人公は、人生に絶望し、自殺を考えている女性。検索エンジンで「自殺」と調べてみたらたまたま自殺志願者を求めているというサイトを見つけてしまう。そこで募集していたのは、もう1度生身の身体で働きたいという願望を持つ老婆に、3ヶ月間体を貸してくれる人。

 

スキエンティア スクリーンショット

スキエンティア スクリーンショット

スキエンティア スクリーンショット

 

身体を貸すことになった主人公は、中身が変わりバリバリ働く姿を中から眺めます。自殺を考えるぐらいに憂鬱な生活をしていた主人公からすると、すべてが新鮮。身体が返ってきたときに、どっと疲れていることに気がつきます。「疲れる」というのは、こういうことなんだ。これまで疲れるまで何かをしてこなかったな、と。自分とは全く別の人格を体験して、絶望していた女性が少しずつイキイキしてくる。

 

そして訪れるレンタル期限。老婆は最後の願いであった生身の身体で思いっきり働くことができて満足したよう。本気で何かに打ち込んだ人の表情は魅力的です。

 

スキエンティア スクリーンショット

 

一方、身体を貸していた主人公は...。

 

とまぁこのようにドラえもんの秘密道具のようにいろんな不可能を可能にする技術がたくさん登場します。人を惚れさせるクスリ、クローン、脳の活動を何倍にも活性化させられる技術など。将来実現するかもしれない技術を物語として味わうのは、思考実験としてもおもしろいですよ。ご紹介した話以外にも、ぐっと来る感動的な物語があったりと、おすすめのマンガです。

 

 

『スキエンティア』が気になるなら、こちらはいかがでしょう。

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