いろどりぷらす

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画質がよくなるのも考えものだな、と思ったワケ

僕はホラー映画というものがからっきしダメだ。あんなの怖くもなんともない、なんて友人は言うから付き合いで少し見ることもあるが、内心ビクビクしつつ表情はさっぱり涼しい顔をなんとか保つのが精一杯だ。大人になってもホラー映画なんかに恐れているようじゃカッコ悪いじゃないですか。

 

そんな僕なのに友人がどうしても見たいというから、『貞子vs伽倻子』を見に行った。よりによって、昔見てさんざん恐怖したシリーズだ。ただし今回は少しちがう。このタイトルから醸しだされるギャグ感が伝わるだろうか。貞子も伽倻子もホラー映画の脅かすキャラクターで本来は作品の中で絶対的な力を持つから恐怖の対象となるはずだ。しかしそれらが戦うという。

 

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結果、年をとったせいもあり、けっこう楽しめてしまった。普段から動画の構成、文章の文体などコンテンツの成り立ちみたいなところに注目しているから、ふむふむ、と分析するように見てしまったせいもあるだろう。

 

ただしこの映画が怖くなかったいちばんの理由は、画質がよくなってしまったことにあると思う。当然ながら貞子や伽倻子は実在する亡霊ではない。(お化けを信じていた人、ほんとのこと言ってごめんなさい)貞子も伽倻子も人間が演じている。いくらきちんと怖くなるように特殊メイクをしても、画質がよくなったことで白粉の下にあるみずみずしい肌の存在をうっすらと感じ、生きている人間であることが伝わってきてしまうのだ。人間が演じていると理解してしまった瞬間、貞子や伽倻子が怖くなくなった。ただし話の筋は予想を裏切ってくれておもしろかった。

 

世の中には4Kなんていう技術も出てきているわけだが、芸能人の毛穴は見えちゃうわ、ホラーは怖くなくなっちゃうわ、2018年には見られなくなっちゃうわ(総務省より)でいいところはほとんどないのでは、とつい疑ってしまう。

 

機械をつくっている側の人たちは商品を売るために毎日ウンウンと頭を悩ませながら、なんとか新しいことをしようと考えて高画質化を進めているだろうから、これはムダだ、なんてはっきり言ってしまうのははばかられる。

 

でも画質に関して言えば、もう一般の人たちにとっては十分に満足できてしまうぐらいになっているのではないか。エロ動画は低画質でも速いほうがいい、なんて声も聞くしね。技術の進歩は絶対的な善だとなんとなく思われているが、既存の枠組みにおいては負の方向に働いてしまうこともあるのだ。