映画『何者』は就活のリアルを描いた作品。経験者はツラいかも
映画『何者』を公開日に観てきた。ネタバレせずに感想を書きます。
事前の情報はほとんどなく、映画館で他の映画を観たときに流たCMだけで物語を想像していた。CMで印象に残っていたのは、就活がテーマであること、佐藤健が演じる主人公はダメ人間っぽいということ、そして有村架純が主人公に対してつぶやく「好きだったよ」という言葉。
あー、就活を通して有村架純が佐藤健に就活を通して恋する物語かなと予想していた。
これは就活時期の青春ラブストーリー...
全くラブストーリーではなかった。
就活を通して見え隠れする、人の側面が詰め込まれに詰め込まれていた。だから就活のリアルな場面がたくさん。ここ数年で就活を経験した人は特に共感するはずだ。
たとえば、「俺はまわりに流されたくないから、就活はしない」という人。グループディスカッションでアピールをしたいがために、会話を遮って自分の話ばかりしてしまう人。自分らしさを失いたくない、と私服で選考を受ける人。志望会社の社員に会ったことなんかをツイートする人。
自分のまわりにもいたなぁ、といい意味で既視感を強く感じた。それだけリアルに(少し過剰だが)就活の現場を描いていたのだ。Twitter や LINEといった普段からよく見ている画面をこれだけふんだんに使った映画は他に観たことがない。
原作を読んでいなかったので知らなかったが、ちゃんと裏切りというか、驚く展開があった。さすが朝井リョウ。まさか佐藤健演じる主人公が...
みんな就活への疑問を抱えながら何者かになろうとする。就活をバカにする人はたくさんいるけれどレールの先にたくさんの道がある。
徹底的にいまの就活の様子を描いた作品だから5年後には風化してしまっているかも。ここ数年で就活を経験した25歳〜30歳ぐらいの人が「あるある」とか「うわー自分のときを思い出してツラい」と共感して見られる作品。