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吃音(きつおん)という症状についてどれぐらい知っていますか?― 『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』押見修造

おすすめマンガ レビュー 考える 社会問題

 

本のいいとこおすそ分け。

 

今回ご紹介するマンガは『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』です。このタイトルを見た時、不思議に思いませんでしたか。「自分の名前が言えないってどういうことだ」、「『千と千尋の神隠し』的なことかなー」とか。そうではなく、このマンガは吃音という言葉がうまく出づらい症状がテーマになっています。

 

作者の押見修造さんが描いたちょいエロなマンガを読んだことがあるので、そうしたテイストだと思っていたら、全く違いました。現実を知るために読んでおいた方がいいマンガです。あらすじ、感想などをどうぞ。

 

 

あらすじ

 

"普通になれなくて ごめんなさい"

ヒリヒリ青春漫画のマエストロが贈る、もどかしくて、でもそれだけじゃない、疾走焦燥ガールズ・ストーリー。自分の名前が言えない大島志乃。そんな彼女にも、高校に入って初めての友達が出来た。ぎこちなさ100%コミュニケーションが始まるー。いつも後から遅れて浮かぶ、ぴったりな言葉。さて、青春は不器用なヤツにも光り輝く……のか?(Amazon.co.jp: 志乃ちゃんは自分の名前が言えない)

 

 

吃音を知らない人は読むと驚くと思う

 

僕はこのマンガを読んで少し驚きました。多少噛んだりすることは自分もよくありますし、少しどもり気味の友だちはいますが、吃音の人はいません。だから症状をあまり知りませんでした。本作の最初のエピソードをみるといきなり症状の様子が描かれています。

高校に入学して、クラスの人たちに向けて自己紹介をしているシーン。

 

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こうした吃音の症状を抱えた志乃が悩みながら生活する様子が静かにしっかりと描かれています。名前は言えないけれど、歌は歌えるというようなことって、周りの人が吃音について知らないと、ふざけているのではないかと誤解されてしまったりする。

 

 

作者も吃音に悩まされていた

 

なぜ吃音の人の悩みを当たりまえのように描けているかというと、作者の押見修造さんも吃音で不自由を感じた経験があるそうなのです。あとがきから引用させていただきます。

 

今でも、1番怖いのは自己紹介のときです。『お名前は?』と聞かれると、胸が恐怖に満たされます。それが電話だとなおさらです。名前が言えず、相手の心配の気配や、不審の目を見てしまうと、その場から逃げ出したくなります。

 

調べてみると、やはり吃音に悩まされている方は多くいるようです。

 
伝えられぬ苦しみ「吃音」 就職4カ月、命絶った34歳:朝日新聞デジタル



吃音者である私が、吃音について語っています。



吃音じゃなかったら、僕は漫画家にはなれなかったかもしれない

 

ただ、悪いことばかりかというと、そうでもないようです。再びあとがきから引用させていただくと、

 

ひとつは、相手の気持ちにすごく敏感になるということです。相手が自分をどう思っているか、変だと思われていないか、というのがすごく気になるので、人の表情や仕草から感情を読み取る能力が発達しました。これは、漫画で表情を描くとき、すごく力になっていると思います。

 もうひとつは、言いたかったことや、想いが、心のなかに封じ込められていったお陰で漫画という形にしてそれを爆発させられたということです。つまり、吃音じゃなかったら、僕は漫画家にはなれなかったかもしれないということです。

 

僕は吃音ではないので、当事者の気持ちはわかりません。ですが、しゃべることに対して苦手意識を持っていて、文字で自分の考えを記録する習慣があったので、少しだけ吃音の方の気持ちがわかる気がします。おそらくブログを書いている方の多くは、話すことより書くことの方が好きだったり、しゃべることに対して苦手意識のある方が多いのだと思います。しゃべるのが楽しい人はしゃべる能力が特化していって、書く方が楽しい人は書く能力に特化していくのでしょう。

 

先日紹介した西尾維新さんの対談集『本題』の中で西尾さんはこう言っている。

 

西尾: 才能とは何かを考えると「他のことができなくなるもの」でもあるだろうし、「他のことができないからそれに専念するしかなくなってしまうもの」であって、『できない』の集大成が結果として才能として特化されていくんじゃないかとは思ったりもします

西尾維新さんの対談集『本題』を紹介した記事はこちら

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『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』を読んだおかげで、吃音に対する違和感がかなり薄くなりました。ただ言葉が出づらいだけだから、少し待ってあげればいいんだ、と。 こういう人がいることは知っておいた方がいい。

 

 

試し読みできます。

志乃ちゃんは自分の名前が言えない - コミック | ぽこぽこ

 

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志乃ちゃんは自分の名前が言えない

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

 

 

『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』が気になるなら、こちらはいかがでしょう。

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