趣味があれば生きられる―『花と奥たん』高橋しん
本のいいとこおすそわけ。
こんにちは、いろぷらです。
『花と奥たん』は『最終兵器彼女』の作者高橋しんさんの作品。2007年から『週刊ビッグコミックスピリッツ』で不定期連載中です。
あらすじ
東京近郊の住宅街、うるわしが丘。そこの一戸建てに、ミニウサギのPたんといっしょに住んでいる“奥たん”は新婚さん。東京でお仕事の旦那たんの帰りを待って、せっせと家事をして、晩ごはんをつくる毎日。今日の晩ごはんは魚に決めた奥たんだけど、お目当てのタラはスーパーでは品切れ。どうしても魚がほしい奥たんは横浜へ向かうけど、そこは今や…!? (花と奥たん 1 | 小学館)
感想、考えたこと
物語のはじめでは、奥たんはアツアツの新婚の妻に見える。奥たんは旦那たんを待ちながら手間をかけた料理を毎日つくっている。おいしい料理が食べられるのは幸せだ。(※奥たん、旦那たんは作中の夫婦の呼び名)
しかしなにかおかしい。奥たんが待っているという旦那たんはいつまでたっても帰ってこないのだ。平凡に見えた日常は実はすでに崩れてしまっていた。
『最終兵器彼女』の最後あたりまではいかないが、謎の花が東京を覆い尽くし、すでに機能していない。奥たんが住んでいる地域も退去を命じられるほど危険なのだ。旦那たんは仕事で東京に向かったためにもしかしたら帰ってこないかもしれない。しかし、奥たんはうさぎと一緒に辛抱強く待ち続ける。
奥たんの生きる糧は料理だ。毎日いろんなところから食材を集めて、丁寧に調理する。周りのことを気をとられる様子はない。時に、他人から批判されても、近所の住民がだんだん移住してしまっても。途方にくれてしまいそうな状況でも絶望せずにいられるのは、熱中できる趣味があるからだ。
趣味は生きる力になる。
僕の場合だと趣味のうち1つはブログだ。こんなブログを書いていて、はたからみたら時間のムダと思われるかもしれない。けれども、時間を忘れて没頭できるぐらいの趣味なら、周りからのノイズなんて気にする必要はない。短期的に見たらムダかもしれないが、突き詰めれば必ずなんらかの役に立つ。他の人がやらないことをやり続けられるというのも大事な能力だ。
その上、好きでやっていることは人の評価を過度に気にしなくてもいいというのが強い。仮にブログで生計を立てることを考えると、常にPV数や売上を気にしなければならないだろう。だからコンテンツが大衆受けする方向に行きがち。
一方、ただ好きでやっている人は必ずしもPV数を稼がなければならないわけではない。もちろん楽しくてたくさん読まれるようなコンテンツをつくる人もいるだろう。けれども仕事としてやるよりは数字への強制力は弱い。実験的な内容だったり、まとまっていないようなものを投稿しやすい。
数字を常に気にしながら記事を書くのは荷が重いし、楽しみの幅を狭めてしまうような気がしている。だから僕はいま趣味として本気で楽しみながらブログをやっている。
『花と奥たん』を読んで、こんなことを考えた。
『花と奥たん』が好きならこちらはいかがでしょう。
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とてもはげみになります。