第19回 メディア芸術祭受賞作品展に行ってきました
2月3日から開催されている第19回文化庁メディア芸術祭に行ってきました。簡単なレポートです。
文化庁メディア芸術祭ってなに?
文化庁メディア芸術祭は、アート・エンターテイメント・アニメ・マンガの4部門それぞれの優れた作品を掲示している展示会です。
いきなり目に入ったのがソースコード!?
展示会場に足を踏み入れてまず驚いたのは、最初に目に入る展示物がソースコード!文字がプリントされた紙が額縁に収まっているのはなかなか様になっています。
これはアート部門で大賞をとった作品でとてもシンプルなコードで黒から白に50段階のグラデーションを描くというもの。
マンガ部門コーナーはマンガ好きがよだれを垂らす
マンガ部門のコーナーには、各受賞作のネームや原画がおいてありました。
全体はこんな感じ。
マンガ部門の真ん中には受賞作品すべてが読めるようになっています。昨年訪れた際にはなかった試みです。同人誌の受賞作もあるのでここでしか読めない作品も。
今回の受賞作家の中では東村アキコさんと志村貴子さんのファンなので、彼女たちのネームや原画をまじまじと見れて感動。特に志村さんのあの淡い繊細な絵のタッチは印刷されたものとは全く違う質感です。
東村アキコさん『かくかくしかじか』
志村貴子さん『淡島百景』
マンガ家の方々の作業机を見ると、やはりそれぞれの性格が出ていますね。
僕らはマンガ雑誌や単行本としてキレイにまとめられて量産された結果のものしか目にしていませんが、大学ノートに描かれた雑な手書きの文字や印刷には載らない薄いペンで入ったアシスタントへの指示などをこうして見ると、普段手にしているマンガの制作過程における苦労を体感できて作品をよりじっくり味わえるような気がします。この感覚は写真では伝わらないのでぜひ足を運ぶことをオススメします。
その他で印象に残ったものも紹介していきます。
裏の目立たないところにあったのがこの『2.5次元マスク』。誰でもない誰かになれるという作品です。
マスクだけ並んでいるのを見ると異様な光景ですが、実際に人がつけると意外とフィットしていて日常に溶け込んでいるのが不思議です。
会場内を歩いていて思わず足を止めてしまったのが『Solar Pink Pong』。足元に照らされているライトが、歩く人を感知してピンポン球のように跳ねるんです。
観察してたら、だいたいみんなここで止まっていました。
最後に紹介するのは『Rhizome』というアニメーション作品です。圧倒的な細かさで描かれた小さな生き物のようなものの集合体が蠢いています。作者によるとドゥルーズとガタリという哲学の偉人の概念からこの作品の創作に至ったようです。
RHIZOME - Bande Annonce from Boris Labbé on Vimeo
メディア芸術祭に行ってきました。高速道路の様子を見てて飽きないようにこの動画もずっと見てられる。#メディア芸術祭 #動画 #中毒性
ぼーっと見ていたい映像。
ほんの一部の目に止まった作品の紹介をしてみましたが、他にも興味深いものがたくさんありました。もともとあまり興味のなかった作品やここに来なければ知りえなかった作品に出会えるのは展示会の醍醐味ですね。
メディア芸術祭開催概要
会期 : 2016年2月3日(水)~2月14日(日)
会場 : 国立新美術館、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ、スーパー・デラックス、セルバンテス文化センター東京
入場料 : 無料
部屋にあったら絶対モテるものを紹介します(盆栽)
なにこれ、欲しい!と思ったものを見つけました。
『Air Bonsai』それは日本古来の美を現代に蘇らせた類まれなる代物
「Kickstarter」で資金募集中の「Air Bonsai」。その名の通り空中に浮く盆栽です。名前はダサいですが、見た目はめちゃくちゃカッコいい。こんなの部屋にあったらきっとモテる。
キャー、なんで浮いちゃうのー!カッコいいー!!
植物を植える鉢のような「energy base」と植物を入れる「little star」を組み合わせると盆栽が浮くという仕組みになっています。なぜ盆栽を浮かそうと思ったのか、どうやってその発想が生まれたのかが気になります。
Kickstarterでの支援期間は2016年3月1日まで。
◯Air Bonsai | Create your "little star" by Hoshinchu Air Bonsai Garden — Kickstarter
盆栽って魅力的
なんか盆栽って魅力的じゃないですか?
「盆栽は歳をとってから魅力を感じとれるようになる」みたいなことが言われていますが、僕はもう10代の頃から盆栽に惹かれていました。
インテリアとして室内に置く観葉植物としてメジャーなのは、サボテン。でもあいつトゲトゲしてんじゃん。なでてかわいがったり、頬ずりしたりできないじゃん。そんなの室内に置いてももどかしいじゃないですか。近くにいるのに想いを告げられない、高校生男女、『とらドラ』かっての。
一方盆栽はというと、全くトゲトゲしてないから触り放題、頬ずりし放題。あーかわいがりたい。
植物ってずっと見た目が変わらないように見せかけて少しずつ変わる。特に盆栽の変化は毎日微々たるもの。そういう変化を見つけられるとなんか楽しいと思うんですよね。
好きな女の子がちょっとだけ髪を切っていて、周りはそれに気づいていない。でも自分だけ気づいている優越感。「あいつまたかわいくなったな」と遠目に見ながらつぶやく感じね。そういう嬉しさがあると思います。
他にも盆栽に魅力を感じている人はいるようで、盆栽関連でこんなアプリもあるようです。
『つい、盆栽』はスマホで盆栽を育てられるアプリ。
たしかに毎日眺めている変化はするでしょうが、それはあくまで数値で制御されたデジタルな変化。本物の盆栽には全くおよびません。やっぱり、生きている盆栽が圧倒的にいいよね。
『Air Bonsai』はまだ買えないので、探したら偶然見つけた『苔庭キット』で我慢しようかな。(めっちゃキレイじゃない?)
もはやホラー?世界感がクセになる猫エッセイマンガ『伊藤潤二のよん&むー』― 伊藤潤二
こんな猫マンガ読んだことない。
ホラーで有名な伊藤潤二の猫エッセイマンガ
伊藤潤二さんというと、ホラーマンガが有名です。『うずまき』 とか。今回ご紹介するマンガはというと、作者の結婚を機に妻が飼っていた猫と新しい猫を新居で飼い始めるという、いかにもほのぼのしたストーリーになっています。
これだけの説明だと、どっかで読んだものと似ている気がします。たとえば、以前ご紹介した猫マンガとして『ワカコ酒』 の作者・新久千映さんの『新久千映のねこびたし』 があります。こちらは猫を溺愛する作者が拾った猫を飼い始めて、ひたすら愛でるという内容です。
○ただねこのいる生活がおもしろい。ねこ好き歓喜のねこエッセイマンガー『ねこびたし』新久千映
猫はただいるだけでおもしろいコンテンツに
猫をはじめとするペットは、人間が思いつかないようなことを突然するので、その行動をちゃんと描くだけでもおもしろいコンテンツになってしまうんですよね。だから世の中には動物を描いたコンテンツはたくさんあります。
猫エッセイマンガはありきたりとも言えるような内容なのに、なぜ本作が他にはない魅力があるのか。その理由は、作者の絵にあります。伊藤潤二さんの絵が醸し出す世界観が、この作品を普通ならざるものに変えているんです。
たとえば冒頭のシーン。
これですよ。
これ。
言ってることは合コンに出現するゆるふわ女子と同じなのに、顔怖すぎ。
夜に出会ったらションベンちびるレベル。なぜかこのマンガでは作者の妻はほぼすべて白目を剥いています。(妻公認らしい) 全体的に明らかにホラーテイストなんですよ。
展開としても稲川淳二の「あれ、なーんか変だなー。怖いな〜怖いな〜」的なくだりがありますが、その後にはこの溺愛っぷり。
この絵のタッチだと、手足をもいでほんとに食べそう...。猫好きすぎでしょ。作品の冒頭では犬派って言ってたのに。
絵のテイストと内容にギャップがあっておもしろい、おすすめのマンガです。伊藤さんのように猫好きではない人も、このマンガで猫が好きになってしまうかもしれません。
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