ペンのスピードがハンパない!人気マンガ家・東村アキコに学ぶ仕事術
人気マンガ家・東村アキコさんの仕事っぷりがやはりただ者ではありませんでした。
「なんだ、お前会ってきたような口ぶりだな」と思われるかもしれませんが、残念ながらお会いしたわけではありません。NHKでこんな番組が放送されていたんです。
『浦沢直樹の漫勉』とは
白い紙に 小さなペン先で壮大なドラマを生む漫画家たち。その創作の秘密に 浦沢直樹が迫る。
“日本の漫画家にのペン先を 世界が待っている”
第1回のゲストは東村アキコさん
印刷された東村さんの絵を見て、相当線が速いなと思ったけど、想像以上でした。
というほど。
その様子はこちらで見られます。
東村さんは10年にわたり驚異的な枚数という、月100枚ものページを描いているといいます。
「仕事は質より量だ」、という言葉がいまいち実感として持てていませんでしたが、こうした東村さんの筆を見てより具体的にイメージが固まりました。
仕事も、はじめはわからないことだらけでどう動いていいかもわかりませんが、とりあえず量をこなすことを目標にしているとやがて慣れが生まれる。慣れてくると立ち止まって考えなければいけない時間は減り、どんどんスピードは速くなります。
『かくかくしかじか』 に登場する東村さんの師である日高先生の「描け」という口癖が彼女をつき動かしているのかもしれません。
若い人のアイデアを活かす
また、印象的だったのが若い人の感覚を生かすようにしてマンガを描いているところ。撮影されているときに描いていたマンガのラストシーンという重要なページで、ぽっと出たアシスタントのアイデアをすぐに取り入れてしまう東村さん。
「マンガを描く」というと、マンガ家が考えたストーリーに沿うようになんでも決めているように思っていましたが、東村さんはかなり柔軟に他の人のアイデアを取り入れていました。
人が来てアイデアをもらう方が絶対いいと思っている
この柔軟さは、仕事に対してこだわりを持っている人ほど難しいはずですがいいものをつくるためには他の人の力を借りることが必要だといいます。
天才肌のように見えて実は...
浦沢さんは、東村さんの仕事ぶりを眺めながらこう言います。
『かくかくしかじか』 を読んで最初僕が目にして「この人は天才肌の人だ」ってすごいなと思っていたけれども「裏にこういう話があったのか」って。
対して東村さんは、
自分のマンガを描くに至る部分の、隠していたダサい過去。本当は「努力してないし、適当にやってるだけだよ」みたいなキャラでいこうかなと思っていたんだけど、やっぱりそれだと嘘だなって思った。描いちゃおうと思って、本当のことを。
東村さんは自分が努力してきた過去を「ダサい過去」といいますが、僕は逆に「ああ、やっぱりすごいな」と思いました。
東村さんは天才ではないかもしれないけど
僕はこれまで、数多くの天才と一緒に仕事をする機会に恵まれ、彼らの持つ才能に圧倒されると同時に、仕事をする過程を通じて「天才とはなんて弱い存在なのだろう」と感じてきました。
その弱さとは、一言で言ってしまえば、「改良できない」ことです。これをさらに詳しく言うのであれば「お客さんのために改良することができない」のです。
たんなる感覚だけに頼って絵を描くのではなく、一発描きができるぐらいにたくさんの絵を書き続けたからこそいまの東村さんがあります。だから自分の最初の考えに固執しすぎず、ときにはアシスタントのアイデアなんかも借りて改良しながらより良い作品がつくれるのでしょう。
もしかしたら彼女は天才ではないのかもしれませんが、いまマンガ界を引っ張っているマンガ家のひとりだと思います。最後に東村さんのカッコ良かったコメントを。
好きなことを楽しくやりたいというよりも、田舎から出てきているからてっぺん取ったるわと言っている人の方が好き。自分も含めて。
次回放送情報
3回目のゲストは浅野いにおさんですが、9月20日(日)午前0時~午前2時12分に「東村アキコ」「藤田和日郎」「浅野いにお」さんの3人分を一挙に放送!浅野さんの回はいま連載中の女子高生SF漫画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』 の現場が覗けるようです。
超豪華なメンバーのマンガ談義をお見逃しなく。