『東京タラレバ娘』3巻を読んだら、やはり面白い。ピンチがチャンスなのは若いうちだけ?
ついに『東京タラレバ娘』最新巻の3巻が8月12日に発売!
僕が大好きなマンガ、東村アキコさんの『東京タラレバ娘』 の3巻が2015年8月12日に発売されました。さっそく購入して読んだのですが、やはり面白かったので、感想を書きます。
東村アキコは強弱がうまい
まず、東村さんの作風でもありますが、物語の強弱のつけ方がうまい。基本的にはアラサーの女性3人組のうちの1人がヤリ捨て(?)られたり、不倫相手になったりするなど事件があるごとに、3人で集まってワイワイしている様子がギャグ調で描かれています。
しかし、1話に1回ぐらいの頻度でシリアスなテイストで寂しさを噛みしめるような姿や30代ゆえのあきらめなんかが差し込まれています。普段がギャグ調なだけあって、教訓めいた言葉がより染み込んできます。
ピンチがチャンスなのは若いうちだけ
たとえば、3巻で「おっ」と思ったのがこのシーン。仕事がうまくいっていなかった主人公の倫子が「チャンスが舞い込んできた」と意気込んでいるところに...
いや、あんたらの歳だと
チャンスがピンチなんだよ
ピンチがチャンスなのは若いうちだけ
新人じゃないんだから
結果出せて当たり前
ピンチヒッターが
空振りしたら
無能扱い
いやー、この言葉が刺さりましたね。一般的に言われている「ピンチがチャンス」という前向きになれるような言葉をはっきりと否定するイケメン。しかもそれが的を得ている。ただのギャグだけではなく、こうしてしっかり締められるのが、東村さんの作品の魅力です。
『東京タラレバ娘』のキャラは妙にリアル
こういった教訓めいた言葉が力を持つのは、この作品に出てくるキャラクターが妙なリアリティーを持っていることも1つの要因だと思います。表紙に出ている3人のような人は現実には周りにいませんが、すぐ近くにいそうな雰囲気が醸し出されています。
その秘密は1巻の巻末にありました。
まあつまり 要するに東京開催決定に
ショックを受けていた
私の周りのアラサーアラフォーの
女友達をネタに
そのまんま ひどいマンガ
描いてやろうと思っただけです!!!
これこそ、鬼畜の所業。
でも、それができてしまうのがすごいです。自分の周りにいる人をモデルにして、読者の満足できるような物語の形に変換するのって、想像以上に難しいです。『かくかくしかじか』 も東村さんの自伝的なマンガで、実在する人物を描いていますが、仮に同じような体験をしたとして、あの傑作マンガを描ける人がどれだけいるか…。
妙なリアリティーを持った『東京タラレバ娘』 は面白いので、最後まで読むことが確定しています。次が気になるー!
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