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RPGの世界で生きるとはこういうこと。『ダンジョン飯』は生活感満載のグルメマンガでおもしろい(感想)

 

ダンジョン飯』が「このマンガがすごい!2016」1位に!(2015-12-10追記)

2015年12月10日に発表された宝島社による「このマンガがすごい!2016」のオトコ編の1位として『ダンジョン飯』が1位に選ばれました。おめでとうございます!また、オンナ編の1位は『ヲタクには恋は難しい』でした。

 

こちらの記事でご紹介するのは九井諒子さんの『ダンジョン飯』というマンガ。九井諒子さんは第17回メディア芸術祭で優秀賞をとった『ひきだしにテラリウム』の作者で、本作が初の長期連載とのことです。単行本1巻は第1話〜第7話までが収録されています。

 

ダンジョン飯』というタイトルからして惹かれませんか?表紙で主人公が手に持っているのは剣と盾ではなくフライパンとフライ返し。この作品、かなりおもしろいです。たぶんこれから大流行りすると思います。あらすじ、感想をどうぞ。

 

 

あらすじ

待ってろドラゴン、ステーキにしてやる!


ダンジョンの奥深くでドラゴンに襲われ、金と食料を失ってしまった冒険者・ライオス一行。再びダンジョンに挑もうにも、このまま行けば、途中で飢え死にしてしまう……。そこでライオスは決意する「そうだ、モンスターを食べよう! 」スライム、バジリスクミミック、そしてドラゴン!! 襲い来る凶暴なモンスターを食べながら、ダンジョンの踏破を目指せ!冒険者よ!! (Amazon.co.jp:ダンジョン飯 1巻)

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グルメマンガなのに、あまりおいしそうじゃない・・・? (感想)

このマンガはタイトルに「飯」とついているので、一応グルメマンガというジャンルになるのでしょうか。ただし、持ち物を失った主人公たちが食べるのは、豚肉や牛肉といった普通の食べ物ではなく、ダンジョン内に出てくるモンスターたち。大サソリやスライム、バジリスクといったどこかで見たことがあるような生物を調理します。

 

「出てくる料理がおいしそう!」と言っている人を見かけたのですが、僕はそんな特別おいしいというわけではなさそうだと思いました。特別おいしそうに描かれているというよりも、普段は食べる対象として注目されないものを食べてみたら「まあ食べれないと思ってたけど、意外とおいしいね」と言えるような食材の数々。

 

例えるなら、カエル。カエルというと、僕にとっては雨の日に細長い草の先にちょこんと乗っている黄緑色のアマガエルの印象が強く、カエルは食用ではなく愛玩動物です。大きなカエルは少し苦手。あまり愛着がなく、できればあまり見たくもないし、触りたくもない。ただ、「カエルは鶏肉に似ていておいしい」みたいな話を聞くと「試しに食べてみたいかも」、とは思うじゃないですか。『ダンジョン飯』に出てくる料理の数々は特別おいしいというわけではなさそうだけれど、興味はそそられる。そんな感じです。

 

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(うわーとか書いてあるし)

 

いや、だっていくら味がよくても元の姿を知っていると...ね。

 

無駄に生活感のあるダンジョンRPGを描いているマンガ 

「グルメマンガは出てくる料理がおいしそうじゃないと意味ないじゃん!」という人がいるかもしれません。その批判はごもっとも。けれど、この適度においしそうな、でもまずいかもしれない感じがこの作品の奥深いところ。もはやこれはグルメマンガではなく、無駄に生活感のあるダンジョンRPGを描いているマンガなのです。

 

もちろん、タイトルに「飯」と書いているだけあって食事にフォーカスしています。けれども、食事以外の場面でもゲームでは見逃されてしまう細かい部分で、現実的な雰囲気が垣間見える。たとえば、主人公一行の女キャラクターがスライムに襲われたときのこと。

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一見、つかみどころがなさそうなスライムをいとも簡単に退治してしまう。決してスライムがHPの低い、弱いモンスターだからではない。きちんと構造的に弱いところをついているのです。スライムの説明が生物の授業で聞いたアメーバ等の原生生物の説明に似ていることからわかるように、この作品ではどのモンスターも普通の生き物として生物学的に扱われているのです。

 

ゲームプレイヤーの漠然とした疑問を解消してくれる

こんな風に妙にロジカルなところが、ゲームプレイヤーの漠然とした「そうそう、そういえばそこ疑問だったんだよね」というもやもやを解消してくれる。これが気持ちいいし、九井さんなりの答えがおもしろい。

 

1巻では特に、「動く鎧」の謎が興味深かった。ゲームに出てくる「動く鎧」というモンスターはどうやって動いていると思いますか?魔法のようなもので動いているのか、何か生物が中に入っているのか、あるいは...。

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ゲームの中は空想の世界だから、と見逃されていた細々としたことを、本作は現実的に描く。子どもの頃から触れてきたRPGの世界に現実のものとして入り込んでいく感覚。この新しい感覚は味わわないと損ですよ。

 

※2015-01-29追記 『ダンジョン飯』の世界を味わえるゲームを紹介しています。

『ダンジョン飯』読んだらこれをやれ!生きるために何でも食べる『ダンジョンマスター』 - いろどりぷらす 

 

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