無邪気でかわいい女子高生を眺めつくすー『女子かう生』若井ケン
本のいいとこおすそわけ。今回ご紹介するのは若井ケンさんの『女子かう生』という マンガです。登場人物が全くしゃべらない、とても珍しい形式をとっています。「かわいい」女子高生をひたすら眺めることができますよ。
あらすじ
喋らなくてもカワイイ! サイレント女子高生漫画! ! 残念美人のももこを中心に、クール系メガネのしぶみ&癒し系ちびっ子まゆみの3人で過ごす楽しい高校生活を、セリフ無しの「絵」と「擬音」だけで描いちゃいました。
幼児と高校生はどこが違うのか
友だちとしゃべっていると、たまに「人間観察が趣味です」という人がいる。僕は人間観察が趣味というわけではありませんが、幼い子どもが無邪気に遊んでいる姿は見ていて心地いい。
生まれたばかりの子どもたちにとっては、自分の周りにあるものすべてが新しいらしく、電車が動いているのだって、犬がしっぽを振っているのだって、とても強い好奇心の対象になる。だから大人にとっては当然の出来事であっても、幼児は心から楽しむことができる。
そんな姿を見て、反感を抱く人はそういないでしょう。多くの人は、幼児の無邪気な姿を見て思わず笑顔になってしまうはず。
心理学用語で「ミラーリング」という言葉があります。
好感を寄せている相手の仕草や動作を無意識のうちに真似てしまう事。また、自分と同様の仕草や動作を行う相手に対して好感を抱く事。
幼児が笑顔になっているのを見て、思わず笑顔になってしまう。これは「ミラーリング」によって引き起こされている行動なのだろうと思います。
そんな笑顔を提供してくれる幼児と高校生で大きく異なるのは、「好奇心」と「言葉」です。幼児にとっては見るものすべてが新しい。電車も、犬も。一方、高校生にとっては電車が動くのは当たり前だし、犬がしっぽを振るのも当たり前。だからわざわざ興味をもってずっと観察したくなるような対象にはならない。もちろん、電車好き、犬好きの人は除きますが。
加えて、幼児と高校生はしゃべる言葉が違います。高校生の方がたくさんの言葉を知っていて、より細かく世界を切り取ることができます。自分の背の2倍以上ある立方体で、車輪のついた動くものすべてを「ぶーぶー」と呼んでいる高校生なんていませんよね。いろいろなことを学んで、当たり前のことが溢れ、語彙も増えたのが高校生です。
幼児としてかわいい女子高生を眺めるマンガ
『女子かう生』は、登場するキャラクターが一切しゃべらない、とても珍しい形式のマンガです。
しゃべらない上に、無邪気にいろいろなものに好奇心を持って生活しているので、いわゆる女子高生としてのかわいさではなく、幼児に向けるような意味でかわいい。カラーコーンを持って歩いていたり、公園にあった子供が描いた線路を元にすごろくをしたりと、行動がとても幼い。だから、女子高校生を見ている、というよりも5歳児を見ている感覚になります。
他には、学校の机にあった穴に消しゴムのカスを詰めて、不思議な高揚感に包まれる。それをきっかけに、街中のいろんな穴を埋めようとする。下駄箱に入っている友だちのうわばきをお菓子で埋めたり、空き地にあるコンクリートブロックを枯れ葉で埋めたり、道ばたでぶつかってしまい鼻血がでた男性の鼻をティッシュで埋めたり。この幼さとは裏腹に、時折パンチラなどの微エロのサービスシーンが挟まれる。
しかし、あらゆるものに対する無邪気な好奇心と、本来話すであろう言葉がないことによって、女子高生ではなく幼児のように眺められる。
『女子かう生』は読むマンガではなく、幼児としての女子高生を眺めるマンガ。たまに開いて、そこに生活している女の子の無邪気さに癒される。読者という安全な立場から、興味を引く対象を眺められる心地よさは、このマンガでしか味わえないでしょう。
若井ケンさんのブログ
新年のご挨拶ありがとうございます!2015年も太ももを描いて行きたいとおもいます。描き初め pic.twitter.com/ROkqBNx3jD
— 若井ケン 3/10女子かう生3巻発売 (@wakaiken) 2014, 12月 31
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